最近話題のマインドフルネス。世界の名だたる大企業がこぞって取り入れ、生産性アップにつなげているそうです。
マインドフルネスとは、【今この瞬間に意識を集中し、自分の思考や感情を判断せずにありのままに受け入れる心の状態】のことです。
ものすごく簡単に言うと「ちくはぐになった心と体を、再度ひとつに戻した状態」。
忙しく動きまわる心を落ち着かせ、本来あるべき場所に自分の心を戻す、というものです。
マインドフルネスによって期待できる効果の代表的なものは以下の3つ。
- ストレス軽減:ストレスレベルが低下し、より穏やかな心の状態を保てる
- 集中力の向上:注意力や集中力が改善され、仕事や日常生活でのパフォーマンスが向上する
- 感情のコントロール:自己認識が高まり不安や抑うつ症状が緩和され、感情をより適切にコントロールできるようになる
これらの効果は近年の科学的研究によっても裏付けられており(厚生労働省『「統合医療」に係る 情報発信等推進事業』HP参照)、継続的な実践によってより効果的になります。
マインドフルネスの考えが広がるとともに、近年見直されているのが瞑想。瞑想はマインドフルネスを達成するためのひとつの実践手段であり、誰でも簡単に始められます。
- 静かな環境を選ぶ
- 楽な姿勢で座る(床や椅子で可)
- 目を軽く閉じる
- 呼吸に意識を向ける
- 鼻から吸い、口からゆっくり吐き出す
- 呼吸の感覚に集中する
- 思考が浮かんでも判断せず、再び呼吸に意識を戻す
誰でもできるけれど、忙しい現代人にとっては静かな場所や一定の時間の確保はなかなか難しい。ましてやそれが毎日続けるとなると、さらに難易度があがります。
本日はそんな「忙しいけどマインドフルネスや瞑想を実践したい!」という方にピッタリの本、川野泰周さん著「ずぼら瞑想」を解説したいと思います。
「ずぼら瞑想」〜川野泰周さん著〜
著者:川野泰周さんについて
著者である川野泰周さんは、お寺の住職であると同時に精神科医でもある、とても珍しい経歴をお持ちの方です。お寺で禅の教えを伝える一方で、病院では心の悩みを抱える患者さんの診察にあたられています。
川野さんはマインドフルネスを広めるために力を入れているのが本の出版と講演。現代社会のストレスや疲れを和らげる方法として、禅の考え方と医学の知識を組み合わせて、「誰でも簡単に実践できるアドバイス」を提供されています。
「ずぼら瞑想」の内容
「ずぼら瞑想」は、忙しい人でもずぼらな人でも日常生活の中で簡単に実践できる、マインドフルネス瞑想法を紹介した本です。
禅僧であり精神科医でもある著者・川野さんが、忙しい現代人向けに開発し、提案しているのが「ずぼら瞑想」。
簡単に本の内容をまとめてみました。
- 短時間で効果的:たった1分から始められる瞑想法を紹介
- 日常生活に組み込みやすい:待ち時間や電車の中など、どこでも短時間でも実践できる方法を提案
- 多様でユニークな瞑想法:おやつ瞑想、お散歩瞑想、キャベツの千切り瞑想、靴磨き瞑想など、一風変わった「ずぼら瞑想」
- 科学的根拠:精神科医としての知見を活かし、瞑想の効果を科学的に説明してくれる
- ずぼら瞑想ワーク集:自律神経の調整、メンタルの強化、集中力の向上などの目的別に具体的な瞑想法を提案。例としてコーヒー瞑想や裸足で歩くことの提案など
瞑想に興味はあるがハードルが高いと感じている人や、忙しい日常の中で心の健康を維持したい人におすすめの一冊です。
瞑想に対してのイメージが変わる
この本で驚くのは瞑想に対する考え方の柔軟さ。おやつを食べている時、コーヒーを飲んでいる時、はたまた満員電車に揺られる時でさえ瞑想はできる。そしてその方法を具体的に教えてくれます。
「なんだ、瞑想ってそんなにハードル高くないんだ!やってみよう!」
読み終わったら、なんなら読んでいる途中から実践してみたくなる簡単な瞑想方法がたくさん記された本です。
瞑想が取り除くのは「脳の疲れ」
様々な不調の原因「脳の疲れ」
「なんだかイライラ、モヤモヤ⋯」
「頭が回らない」
「健康診断では問題ないのに、体調がすぐれない」
「寝ても疲れが取れない」
みなさんもこんなお悩みはありませんか?
著者の川野さんは、これらの原因不明の不調の原因はすべて「脳の疲れ」から来ている、としています。
- スマートフォンでの「ながら作業」の増加
- 生産性アップによる一人あたりの仕事量の増加
- 家事効率化による単純作業の減少
これらによって脳は過剰に働き続けなければならず、疲労が知らず知らずの間に蓄積されているそうです。
瞑想は「脳のケア」
脳の疲れを放置していると、不眠や自律神経失調症、うつなど、もっと重い症状になって現れます。でも、脳をケアする方法はほとんど知られていません。
瞑想は脳を休ませてケアすることができます。
瞑想をした人の感想で多いものが「頭がスッキリする」というもの。瞑想で「今、ここにいること」に集中することによって、24時間365日アイドリング状態の脳のエンジンを止めて休ませられるのです。
瞑想で自律神経も整う
自律神経失調症は身近な病気
自律神経の失調から生じる症状の例として以下のものがあります。
- 頭痛
- 目の疲れ
- 不安や不眠
- 過活動膀胱
誰でもひとつは抱えているような不快感ですよね。これはほんの一例だそうで、驚くほど多くの身体の症状が自律神経の失調によって引き起こされています。
ちなみに、「あまりお腹が空いてこない」というのは初期のサインだそうです。みなさんも身体からこんなサインが出たら早めにケアをしてくださいね。
自律神経失調症は予防が大切
自律神経失調症を招いたストレスが限界を迎えるとさらに怖い病気を発症するそうです。なので症状が軽い段階で心のケアをすることが大切です。
自律神経の根本原因は強いストレス。心の休息が必要です。「ずぼら瞑想」著書で川野さんは瞑想をはじめとした様々な精神療法を推奨されています。
瞑想をすることで脳や自律神経を整え、心と身体のケアができる。もう瞑想をせずにはいられませんね。
前後際断(ぜんごさいだん)という考え方
前後際断ってどんな意味?
心理学に、注意資源という考え方があります。人間が何かにむけていられる注意の数には限りがある、というものです。「今、この瞬間」に起きていることに注意資源を使い切ってしまえば、他には何も考えられなくなります。
すると、あれこれ思い悩む脳の働きにもストップをかけられます。この瞬間は、頭の中から言葉が消えています。起きてもいない未来のことを心配したり、過去を悔やんだりすることもなく、「今、この瞬間」に没頭し、ストレスからも開放されています。
禅の世界ではこれを「前後際断」といって、大切な教えにしています。
川野泰周:著 「ずぼら瞑想」より出典
「前後際断(ぜんごさいだん)」は仏教、特に禅の考え方。
「前」(過去)と「後」(未来)の「際」(境界)を「断」(断ち切る)という意味です。過去にとらわれず、未来を憂うことなく、今この瞬間に集中して生きることを教えています。
つまり、メッセージは「過去の後悔や未来の不安という余計な雑念を断ち切って、現在のやるべきことに全力を注ごう!」
ということです。とても素敵な教えですよね!2024年の冬に放送されたドラマ「海に眠るダイヤモンド」でもさだまさしさん演じる和尚が、ヒロインの杉咲花さんにこの「前後際断」の言葉を贈っていたのが印象的でした。
瞑想で「前後際断」ができる
瞑想により、「前後際断」ができる。「ずぼら瞑想」でどんなに忙しい人でも毎日無理なく初めて続けられる。━━━著者の川野さんの現代人に向けた優しい思いやりが伝わってきます。
効率化の進む現代の弊害
非効率な家事の中に瞑想のチャンスがあった
家事にも効率化が求められる現代は単純作業が減って来ており、ずぼら瞑想のチャンスも少なくなっています。
効率化が求められ、非生産的な作業に没頭できることはもはや贅沢とさえ感じられることも。
あえて非生産的で非効率なことに没頭してみる!
そんな時代だからこそ、著者の川野さんはあえて非生産的で非効率な作業に没頭する機会を意識的に作ろう!と提案されています。
例えば家事ではロボット掃除機ではなく、掃除機を丁寧にかけてみたり、手間をかけた料理を作ってみたりなどです。
非効率な単純作業に没頭することで瞑想のような効果が期待できます。
ずぼら瞑想を始めてみよう!
瞑想で「今、この瞬間」を大切にしよう!
ずぼら瞑想で脳の疲れや自律神経のバランスを整え、ストレスを緩和する。瞑想にそこまでの力があるとは驚きでした。
ずぼら瞑想は簡単に始められ、アレンジも自在。誰でもいつからでも始められます。みなさんも疲れやちょっとした不調を感じたら、ぜひ「ずぼら瞑想」を試して頭をスッキリさせ、「今、この瞬間」を大切にしてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!